ただ、もっと早く気付いておけばよかっただけ。

「オラオラ、もっと泣き叫べよ！！」
「優等生ちゃんがよ、目障りなんだよ！w」

そんなに関わりのない人間からの誘いなんて断るべきだったんだ。

「なぁスズ。こいつ悲鳴あげることもしねーじゃん」
「な〜んか一気に萎えちゃった。今日はもう辞めん？」
「そーしよ。この後バイト？」
「いや今日はフリー。ファミレス行く？」
「え行こ行こ！　ってわけで、じゃね〜優等生ちゃん♡」
「また明日。楽しみに待ってるよ。まー今日ここで死んでるかもだけど！w」

キャハハと笑う2人の女子生徒は私の事をチラチラ見ながら去っていった。

『ねえ優等生ちゃん。えっと、お名前は…早乙女柚木？可愛い名前だね〜w』
『ね！うちら今から参考書買いに行きたいんだけど、一緒に付いて来て欲しいの！！』
『優等生ちゃんに何の参考書がオススメか聞きたくてー！』

あんな素行が悪そうな人の役に立とうとか思わずに、すぐ断っておけばよかった。
実際のところ、参考書など買いに行かずに川の橋下に連れてこまれて暴力を振られたわけだけど。

「はぁ…」

うちのクラス…星奈女子学園高等部1年2組はとにかく不良が多い。しかし、不良ではない生徒も勿論いる。
先日、今まで先ほどの彼女2人とよく一緒にいた学級委員・佐々木真帆が転校をした。
風の噂によれば、真帆は彼女ら2人からの過激なイジメを親に訴え転校させてもらったそうだ。
見事にハンドバックがなくなった彼女らは、次に私を選んだのだろう。
全く、めんどくさい。

「疲れた。帰りたい」
そうボソッと呟いても、誰も耳を傾けてはくれない。
そもそも人はいなし、血だらけだから