「想い、届くといいですね」
……その人に。
ちいさく言添えた私の声は、思った以上に弱々しかった。自分で言ったくせに、また胸にちくっとした痛みが走った。
百瀬くんからそんなに想いを寄せられる“欲しい人”とは、どんな人なんだろう。
以前は気にならなかったことを密やかに咲かせてみれば、何となく、心が雨雲に包まれていくようで、どんよりモヤモヤする。
唇をきゅっと引き結んで逃げた瞳の先、いつの間にか手元の包み紙は、握り締めてくしゃくしゃになっていた。
「そうですね」
そのとき不意に返ってきたのは、心が苦しくなる程に穏やかな声。もう一度見上げたそこで、甘やかな熱を孕んだ青い瞳と絡み合う。
「届けます、絶対」
そして彼はまた、とてもやさしい顔をした。
それに不本意に、ほんのり頬が熱くなって。
じわじわと胸の底から湧き上がる熱に抗えない。
どうしても勘違いしてしまいそうになるその眼差しに、咄嗟に伏せた睫毛が震えた。
“その人にだよ”と自分に強く言い聞かせた。
彼の瞳に、言葉に、いつか自惚れてしまいそうで怖い。
「……煙草、吸いに行ってきます」
ふらりと立ち上がって、可愛さのカケラもないことを掠れた声で呟いた。
「俺も一緒に」
「、未成年じゃないですか」
「今さらですか?」
愉しそうに笑う百瀬くんに、瞼が熱くなる。
たった今、切ない雰囲気になりかけていたのに、もう柔い空気に戻っていた。
はぐらかしてばかりな彼の、本当の心に、いつか私は辿り着けるのだろうか。



