……知りたい、百瀬くんのこと、もっと。
ぎゅうっと息苦しさを感じる胸の片隅で、そんな想いがほんの少しだけ顔を出す。
男に対して抱いたことのない気持ちに、自分自身で戸惑って、そっと睫毛を伏せた。
手持ち無沙汰な指先は、包紙をもっと小さい正方形にしていた。手汗のせいですっかりふやけたそれをじっと見つめながら、ふと頭に浮かぶのは、あの感情が削ぎ落とされた美しい顔だった。
「……それじゃあ、芸能界なんて余計に辛くないですか?」
きっと、裏にも表にもいろんな女性がいる輝かしい世界。男が嫌いな私だからこそ分かる、苦手が詰まった世界に飛び込むことはとても辛い。
無意識に眉尻が垂れていく。
そんな私の鼓膜を、やさしい声が撫でた。
「言ったじゃないですか、欲しい人がいるって」
顔をあげた先で、煌めく青い瞳が待っていた。見たことのある眼差しに、既視感がふわっと舞い降りる。
「触れるのも躊躇うくらい、すべてが綺麗な人なんです」
キュッ、と心のど真ん中を射抜かれるような感覚。
そう、初めて話したときと同じ。
百瀬くんは、まるで眩しい光でも見るように、艶めく眼差しを私にまっすぐ注ぐ。
そして、微かに眉尻を下げながら微笑んだ。
「だから単純に、見合う男になりたい。それ以外、余計な事は考えてません」
途端に彼が纏うすべてがきらきら輝いてみえて、それがひどく眩しくて静かに視線を外した。
どくどく、胸の高鳴りが止まない。
いま、純粋にかっこいいなって思ってしまった。
自分の事だけを守るのに必死な私にはできない。誰かの為に自分を変えようとする百瀬くんは、普通に、すごく素敵だ。



