𓂃◌𓈒𓐍
重なり合う黄色い葉を踏めば、カサコソと秋らしい音を鳴らした。傍らに立つ銀杏の木からは、時折、はらはらと葉が舞い落ちる。
自分の足元にもはらりとやって来た一枚の黄色を見届けて、ヴィーガンバーガーをまた頬張る。
知る人ぞ知る小洒落たキッチンカーで買ったそれは、ショッピングモールの裏口辺りでひっそりと販売しているもの。
お客様より従業員がよく利用していて、以前、ヘルプできたときに他のスタッフに教えてもらったのだ。
残りあと二口と、ポテトが数本。
黙々と咀嚼していれば、隣りからくしゃりと紙を丸める音がした。
縞のように優しい光が降り注ぐベンチ。
そこで一人分空けて隣に座る百瀬くんは、食べ終わったのかバーガーの包みを片付けていた。
「……口に合いました?」
先程からずっと気になっていたことを、やっと言葉にできた。いただきますの言葉から終始無言だったから、実はドギマギしていた。
ヘルシーで女子には人気だけれど、男子には少し物足りなかったかもしれない。
すこし不安な気持ちでいれば、百瀬くんは垂れ目を細めて綺麗な笑みを寄越す。
「美味しかったです。初めて食べました」
そう言った表情が、なんだか少し楽しそうに見えて、ほっとしたのと同時に胸が擽ったくなる。
正直、百瀬くんが食事する姿が想像つかなかった。どこか現実離れしていて、人間臭さを感じないからかもしれない。
結果、隣で静かにもぐもぐしていた百瀬くんは、バーガーを食べていても美しかった。CMみたい、だなんて阿呆な事をぽわんと思ってしまった。
そんな私は、ちゃんと味わえないくらいに、もうずっと緊張している。



