焦がれる吐息




そよそよと、心地よい秋風が私たちをやさしく包む。遠くでは、園庭できゃっきゃと遊ぶ声が聞こえる。

今までは縁遠かった、どこか非日常的な穏やかな空間。その中で、ぎゅるると、愛らしい腹の虫が鳴いて、つい笑みが顔に広がってしまった。


「しーちゃんのご飯、そんなに美味しいんだね」

「うん!たがもやきがいちばんすき!!」

「たがもやき?」

「うん、たがもやき!!」

「……うーん、たがもやき…」


何のことだろう?頭を捻っていれば、ケイトは真っ白なぷにぷにのほっぺを、ふにゃりとさせた。反して、薄っすら赤くなった無垢な瞳を寂しそうに揺らす。


「ぼくね、しーちゃんのごはん、たべられなくなったらやだけどね、あのね、」

「うん」

「あのね、しーちゃんにあえなくなるのは、とってもさみしいけどね、でもね…」

「うん」


涙を呑み込むように、唇をムギュムギュさせながら話し始めるケイトが、なんだか、たまらなく愛おしくて。大丈夫だよ、という意味を込めて小さな背中をトントンと一定のリズムでさする。


「スミちゃん、ぼくね、さみしいけど、しーちゃんのこと、おうえんしてるの」

「…応援?」

「うんっ…!しーちゃんね、ぼくにだけ、コショコショはなしてくれたんだよ」


急に小さな両手のひらをぎゅうっと丸めて、キリリッと凛々しい顔になるケイトに目が丸くなる。


そんな私を置いてけぼりにして、ケイトはぴょこんと立ち上がった。座り込む私と同じ高さになったクリクリのおめめは、じいっと私を見つめはじめる。


「スミちゃんには、とくべつにしーちゃんのヒミツおしえてあげる!!」

「え、」


いや、何の話かいまいち分からないけれど、しーちゃんのヒミツとやらを勝手に話すのは良くないのでは……?

そう戸惑う隙に、小さな手のひらが私の耳に添えられて。

「しーちゃんね」というコソッと擽ったい囁き声とともに、小さな唇がすぐそばまで寄せられた。



「———せかいで1番かっこいいおとこになって、スキなひとにこくはくする」