焦がれる吐息




そっと、ドレッサーの引き出しにメモをしまって、適当に化粧を終わらせる。今日は、午前中から予定が入っていた。

煙草吸ってから行こう、と寝室を出てもやっぱり家の中は静寂に包まれている。


…百瀬くんは、今日も仕事に行ったのだろうか。


ソワソワとしていた胸が、どうしてか急に萎んでいくような気がした。


ベランダへと出れば、鬱陶しいくらいに眩しい朝陽に眉を顰める。時刻はAM7:00過ぎ。明けたばかりの空が、朝の冷気とともに新鮮に輝いていた。

眠気を追っ払うように前髪を乱雑に掻きあげて、煙草を咥えた。


一日のはじまりの一本が、いちばん好きだ。

目覚めの一吸いが、一番美味しく感じる。


清々しい空気に、澱む心を吐き出すように煙を燻らした。手摺に寄りかかりながら、果てしない遠方から滲むように広がる白色の光を見つめる。


そうして朝陽を浴びながら、煙草が半分ほどの長さになった時だった。


———カラカラと、背後で窓が開かれる音がして肩がぴくっと跳ね上がる。間抜けにも口を「へ、」とさせて振り向けば。


「隣、いいですか?」


金色の髪にぴょんと寝癖をつけて、とろんと少し眠そうな目。私と同じ銘柄の煙草を掲げて、艶やかに微笑む百瀬くんがいた。