「……夜ごはんってもう、食べちゃいました?」
「え?」
「困らせたお詫び、したいんですけど」
注がれる眼差しが、どうしてか熱い。
依然と離されないそこに意識が散乱して、反応が鈍くなる。
「料理、嫌いじゃないんで。まだなら作ってもいいですか?」
百瀬くんが掴めない。まったく読めない。
でも、無理をしているようには見えなかった。
思いもよらぬ言葉に戸惑い、彼が持つビニール袋に視線を落とす。
お詫び、だなんて、
そんなことを考えてくれてたなんて、思いもしなかった。
乳白色から透けたそこには、野菜や調味料、お肉もみえるし、パスタが入ってるのも分かる。
私に何かを作ってくれるために、わざわざ買い物に行ってくれたのか。
パンパンに詰め込まれた重そうな袋の理由に、鎧を纏う心にぐっと何かが刺さる。
それがなんだか苦しくて言葉に詰まっていれば、
「ていうか、作りたいです。澄香さんに」
私を掴む手をそっと離した彼は、静かで、でも芯のある声を落とした。
途端に、きゅううっと、心臓がくるしくなる。



