時折、互いから切なげに吐息が静かに漏れ溢れ、また深くまじわる。
ゴドンッと、足元で鈍い音が響く。
ビニールは呆気なく落ちて、小さな音を立てながら酒が転がる。
それでも彼は、何度も口付けを重ねた。
まるで私に感情をぶつけるように。
そのうちに限界がきて腰ががくっと抜け落ちそうな時、ふわりと包み込むように抱き寄せられる。
「……俺は、もう、好きとか愛してるとか、そんな次元じゃないんですよっ…」
耳に触れるのは、絞られた震える声だった。
薄く目を見開いた先、リビングから漏れた消し忘れの明かりが天に差し込む。
それに儚く照らされた金の髪が、視界を切なげに彩る。
「だからいい加減、本当に、」
くるしそうに言葉を詰まらせ、更にめいいっぱいに抱き締められる。
「……ほんと、もうこれ以上、惚れさせないで」
あまりにも弱々しく吐き出されたそれは辛そうで泣いているようで、胸がきゅううっと痛くなるから彼の背中に手を伸ばした。
既に頼りない思考回路で、それでも想いを込めて抱き締め返す。
今は、着てるお揃いの厚みがもどかしくてたまらなく感じた。だからこそ、今まさに“あれ”を伝えられるような気がして。
「……私だって、しづきくん、好きよりもっと好き。」
「いつも、素直じゃなくてごめんね」
付き合ってからの改まった“すき”が、素直に言葉を伝えられない私をいつも悩ませていた。
たった二文字なのに、どう切り出して伝えればいいのか、どんなタイミングで言えば良いのか、考えれば考えるほど言葉にできなかった。
アルコールは入っていても、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしくて。彼の胸の中で縮こまれば、彼もまたやっぱり溜め息を吐く。



