焦がれる吐息





ごろん、と仰向けになってビーズの柔らかな感覚に深く沈む。鬱陶しい光を遮るように目元を片腕で覆った。


『今までの全てを覆して、どうしても欲しいんです。その人が』



意に反して、目蓋の裏にも彼が艶やかに咲いてしまう。


女性と碌に会話もできない、とはどの程度のことを言うのだろうか。普通に話せているように見えるのに。

私を女性として見ていないのか、それとも"その人"の為に無理をしているのか。


ひとりきりの空間で、時間の経過とともに思考は冷静にまわり始める。でも、ふわふわ浮かぶ疑問符はいつまで経っても解けない。



………シャワー浴びて、ビール呑もう。



考えることに疲れ果てて、おもむろに体を起こした。

そういえばお昼ご飯も食べていなかったと思い出せば、お腹も空いてくる。

おつまみあったかなと、頭の中で冷蔵庫を開きながらクローゼットへ。彼が出掛けてるうちにと思えば、身体も素早く動いた。


でも、いつも通りのルームウェアを手にしようとした寸前でその動きはピタリと止まる。


ラベンダー色のキャミ、ショートパンツ、その上から羽織るひざ丈の長袖ローブのアンサンブル。

男と関わらないようにと辿り着いたバイト先——ランジェリーショップにて、社割でお得に手に入れたものだ。

生地は、微光沢が上品なサテン。サラサラと滑らかな肌触りが気持ちよくて、淡いピンクと色違いで買ってしまうほどお気に入りで愛用中。


……だけど、と。


白色のケミカルレースが咲くキャミの胸元、ざっくりとVに開いたそこを見つめて指先が躊躇う。