「話してみたいな〜ってずうっと思ってたんです!あ、わたしリリっていうんだけど、お名前、てか連絡先とか聞いてもいいですか?!」
「(ふざけんなリリ)」
「あれ、え、顔色悪くない?!大丈夫?気分悪いのお?」
「(あーまずいしづきくんから離れろ)」」
「どうしよ、あそうだ!リリの部屋で休む?」
垂れる金の髪。
地面に縫い付けられたように微動だにしない長い足。
先程よりも小さく感じる大好きな背中。
キーンと高い耳鳴りを遠くで感じながら、ずきんずきん胸のあたりが痛み始めるからチッと舌打ちを鳴らした。
いつものように逃げていいのに避けていいのに遮断していいのに、やさしい彼のことだから、もしかしたら私の隣人に失礼のないようにって踏ん張ってるのだろうか。
「あ、もしかして彼女さんのこと気にしてる?それなら大丈夫だよ?彼女さんもさっき他の男連れ込んでるの見たし〜」
は?と思わず立ち止まってしまった残り約10メートル。
ふと、彼の背中越し、目が合った化け猫が真っ赤なルージュでニヤリと弧を描いてみせた0.1秒後。
———ッガンッ……!!!
大いなる進歩は、私だけではなかったようだ。
「死にたいなら、他当たってもらえませんか」
「…………え?」
「殺してあげたいけど、俺は彼女しか見たくないし触りたくないから」



