下唇から喰むように、丁寧なキスが降り注ぐ。角度を変えて幾度も吐息が呑み込まれる。
恥ずかしさに逃げそうな腰はぐっと引き寄せられ、震える自身の脚の間には彼の片膝がぐりぐりと割り込んでくる。それが余計に下腹部の疼きを煽る。
「…んっ」
自分の鼻の抜けるような声も、熱い吐息さえも奪われて私はただくぐもった声を喉奥であげ、彼の胸元に必死にしがみつくだけだった。
息苦しくて恥ずかしくて、でも、悔しくも気持ち良くて。
彼から与えられるゆったりとした甘い快楽に、理性が崩されかける。
と、おもむろに、こちらに向かってくる足音を微かに拾った。
途端に理性は立て直し、慌てて彼の胸をとんとん叩いて離れる。
「……百瀬くんのあほっ…」
叩いた胸元をきゅ、と握り締めて。濡れる目尻もお構いなしに鋭く睨み上げる。
これはちゃんと言っておかなければならない。
ほら、一応年上の彼女だし。
「……私も百瀬くんのことしか眼中にないけど、外ではだめっ」
百瀬くんは得意の睫毛をぱしぱしとさせて固まるけれど、小さな声でも出来る限り強く言い放つ。
「聞こえないはもう無しですから」
「………」
「いい?分かった?」
「ん(………いやだから可愛すぎるんだって)」
百瀬くんは絞るような一音だけを零した。
そして、お説教したばかりなのに、透かさず後頭部に手を添えられて抱き寄せられる。ぎゅーと拘束が強くなる。
全然分かってない。



