焦がれる吐息





𓂃◌𓈒𓐍


無数に伸びた裸の枝が寒々と見下ろしているもとで、一組の男女が向かい合う。


「ぼくと、けっこんしてください!!」


その身長差、約80センチ。

一方は、金色折り紙の王冠、赤いマントを羽織った小さな王子様。

見下ろすもう一方、二重瞼の妖艶な下三白眼は、健気な姿を優しげに見守る。

ただ彼女の佇まいは、どことなく漂う倦怠感と持ち前の色気が相まって、以前よりも格段と艶めかしく魅惑的な色香を放っていた。

子供にとっては存在が刺激的すぎないのか、

そんな心配をよそに彼女は小さな両手を掬い握り締めると、腰を折り小さな王子様と目線を合わせた。



「うん」




花びらのような朱色の唇は緩やかに綻ぶ。

愛おしむように目を細め、嬉しそうにするその表情は、普段、滅多に見ることができない。


陰から密かに見守っていた野次馬達は、その美しくも可憐な姿に溜め息混じりの感嘆の声を漏らした。

小さな王子様は目を輝かせ、美しいお姫様の腰に抱き着く。二人は無事、幸せに結ばれましたとさ。

めでたしめでたし。





「(って、ええええ?!違う違う!ちょっと今あの子、うんって言った??!迷う事なく頷いたわよね?!?!)」