「……百瀬くん…?」
「……」
「どうしたんですか?」
「……」
「……おーい」
「……」
「ももせくん、ねえ、」
「……」
「……ももせ…し、しづきくん…?」
そして何度目かの決死の呼びかけ。やっと返ってきたのは、私の何倍も深い、深呼吸にも似た溜め息だった。
「……百瀬くんって、溜め息多くないですか」
擽ったさに眉を寄せ、一ミリも隙間のない彼の胸の中でちいさく愚痴をこぼす。
想いが通じ合えても、百瀬くんは謎だ。
でも、謎だけど、応えにぎゅうーっと抱き締めてくれるから胸は素直に嬉しい悲鳴をあげてしまう。
幸せの圧迫感を感じながら、瞼を閉じる。
鼻腔に触れるのは、彼本来のやさしい石鹸のような香り。今日の禁煙はしあわせに過ごせそうだと、大好きなぬくもりの中で密かに笑みをこぼした。
「(———そんなの、言葉にできないほどに
貴女が可愛すぎるせいでしょ)」



