焦がれる吐息





「澄香さん、」

「……何もないなんて、言わないで」


ぎゅっと、できる限りのやさしさで握り締める。


散々涙は溢れているはずなのに、彼の手の甲には私の感情が大きな一滴となってこぼれ落ちた。

赤切れたそこは出逢った当初から少しはマシになったと思っていたのに、また悪化している。

思わず親指の腹でそっと一撫ですれば彼はぴくりと身体を動かした。


見上げると、戸惑い揺れる美しい瞳と交わる。


それに小さく笑みを返して、恐る恐る、勇気をのせた自身の指先を今度は上へと伸ばす。



「……百瀬くん、全然分かってくれないから…だから、私も伝え続けます」



最後に会った時よりも痩せこけてしまったような、そんな彼の滑らかな頬に手のひらを添えて。


「この手が、瞳が、貴方がどれほど価値があるのか」


瞠目した青の瞳を愛でるように、彼の目尻を一撫でする。

彼の体温はどこもかしこも酷く冷たくて、どこに触れても愛おしさが湧き出た。



「私が今の百瀬くんをどれだけ大好きか、上手に言葉にしていきたいから、ずっとそばにいて」



もうずっと無理矢理に押し殺し嘘を吐き続けていた唇を解いてしまえば、それはまるで泣いてるように響いてしまったから。眉尻は下がり、つい弱々しく笑みを溢す。

それでも、潤み輝く青の瞳を一心に見上げる。