焦がれる吐息





彼の言葉の熱が、心を満たし焦がしていく。


“せかいで1番かっこいいおとこになって、スキなひとにこくはくする———”



本当だ。世界で一番かっこいい。


あれほど竦んでいた足が自然と前へ出た。

ぼやぼやと視界は悪いけれど、涙を拭うのも忘れて、一歩、一歩、彼へと足を進める。



疾うに周囲の驚くような声の束も表情も背景にしかすぎなくなって、ひたすらに大切な瞳を真っ直ぐに見つめて。見つめ返され。見つめ合いながら。


「………」


とても長いように感じた一本道を経て、漸く彼に触れられる距離まで辿り着いた時。

いざ心を言葉にしようにも、自分の唇は数ミリ開くだけでも震えて声が上手く出せなかった。

だから、


「、澄香さん…?」


固く握り締められた彼の片拳へと指先を伸ばし、静かに彼の体温に触れた。

そのまま壊れ物のように丁寧に掬い取り、両手で包み込む。