焦がれる吐息






「でも、もう今の自分から逃げるのはやめます。自分を隠さずに大切な人に尽くしたいと、漸く目が覚めたので、」



艶やかに言葉を奏でながら、百瀬くんは迷うことなく私を捉えた。

澄み切った青に、私だけが映る。

瞬間、彼はふわりと目尻を緩め、踏み出す。


誰もが言葉を忘れて立ち竦み、でも自然と彼が通ろうとする前に割れるように道ができる。


彼が一歩ずつ私に近づく度に、どくどくと、熱い血がめぐる。特別な理由もなく、感情が、ぽろぽろと涙となって溢れる。



———そして、半径二メートル手前。

立ち止まった彼は、いつかと同じ、私をとても大切そうに瞳に閉じ込めて。

今までずっと、はぐらかしてばかりだった綺麗な桜唇を解いた。



「そろそろ、聞いてくれませんか。俺がどれほど澄香さんを想ってきたか。どれだけ好きか。」


掠れた声で、祈りを込めるように。

堆積した熱い感情に苦しんでいるように、青を潤ませ揺らしながら。


「今は何もないけど、これから死ぬ程努力するので、貴女のそばでこの先もずっと、伝え続けてもいいですか」