焦がれる吐息





煌びやかな建物を前に、呼吸を整えようと肩で息をする。

年甲斐もなく部屋を飛び出して、携帯片手に街中を全力疾走してしまった。

けれど以前より重い息苦しさを感じない。それはきっと、煙草をやめたおかげで。

そんな些細な事でも、胸の辺りがなんだかジーンと熱くなってしまうから急いでスンと鼻を啜った。

今からこんなに情緒不安定で、実際彼を目の前にしたら私の涙腺はどうなってしまうのだろう。

今更緊張しながら、眩いエントランスをくぐる。そうすると、いつもは不思議なほど静謐な空間が広がるのに。



「(…すごい、人…)」



カフェスペースに一般人と思しき人集りができ、フロア一帯が浮き足立っているように騒がしい。

テレビでしか見たことのない、芸能人の出待ちかのような光景を遠目に思わず眉を顰めた。