焦がれる吐息





(———しーちゃんが、その大きな出窓から私を見つけてくれていたらいいのに。)

(スキな人が、欲しい人が私だったら……)


あの日、密かに咲かせた図々しい祈りが過って、止めどなく頬が濡れる。

込み上げる感情を少しでも堪えようと、知らず知らずのうちにスマホを握る指先に強く力が入る。


『彼ね、自分には何もないって言ってたの』

「……」

『それでも、彼女にどれほど突き放されようが見放されようが、自分を好いてもらえるように足掻くって』

「…っ、」


震える手を口にあてがい、必死に泣き声を押し沈める。胸の内で、彼の声で繰り返してみる。



『“澄香さんといる未来しか欲しくない”って』




星は見えないけれど、心に刻まれてきた彼がきらきらと瞬いた。




『……あーあっ、なんか妬けてきちゃうから後はもう秘密よ!とにかくね、覚えておいて欲しいことは一つだけ!スミちゃんに大切な事を教えてあげる』


そして最後、茶目っけたっぷりのヒーローが怖気付く私の背中を押した。


『アタシはスミちゃんの一番の味方よ?社長のアタシが言ってるの。だから、もう何も恐れることはないわ』