焦がれる吐息





「———私が、ケンちゃんの未来も奪ったでしょ」


自分の心に刻むように、独り言のように紡いだそれは、思いの外、寂しそうに空虚に響く。

自分の声はこんなにも頼りなかっただろうか。


百瀬くんと出会ってから、取り繕うことが苦手になってしまった。強がり方を忘れてしまった。



『……なあに?それって、アタシの美しい容姿のことかしら?』


それでも、しんみりとした空気を吹き飛ばすようにふざけた真似をしてくれるケンちゃんは、やっぱりどこまでも優しい。


「ん」と掠れた一音を絞り出せば、すぐに『馬鹿ね』と呆れたような声を返される。



『アタシはスミちゃんに未来なんか奪われてないし、今の自分が好きよ?』

「……」

『スミちゃんが好きにさせてくれたの。無自覚だろうけど、貴女はたくさん救ってくれてるのよ』


そう、はっきりと告げてくれるケンちゃん。

見えなくとも、とても朗らかな表情をしているような気がして。うっかり目頭が熱くなってしまうから、瞼を下ろした時。



『それは、“しーちゃん”もね?』


まるで春のそよ風のように、さらりと囁いたケンちゃんに突として時が止められる。