焦がれる吐息






『そうそう、ほら昨日バタバタしちゃってお土産渡してなかったじゃない?もうね〜スミちゃんについつい沢山買っちゃってね〜』

「……」

『コスメもね、スミちゃんが好きな店のほら、あ〜ん何だっけえ〜』

「……ごめん、いま忙しいから。また後でにして」



カザゴソと荷物を探るような音を嘘で遮る。


ごろんとまた仰向けに寝転んで、全てをシャットアウトするように片腕で視界を覆う。


ごめん、今は世界中の何もかもが鬱陶しい。

穏やかな太陽の光は勿論、話し声、笑い声、テレビでふと流れる恋愛ソング、兎に角全てが鬱陶しい。

ヒリヒリとする目尻に、ぽっかりと空いた心に虚しく染み痛む。暫くは静かに殻に閉じこもっていたい。あともう少し。もう少ししたら、ちゃんといつもの自分に戻るから、お願いだから放っておいて。


「じゃあ」と切ろうとすれば、『まって、スミちゃん!』と先程よりも明らかに真剣な声色で引き止められる。

「何」とやや苛立つ声を返せば、ケンちゃんは『いや、その、あの…』と途端に歯切れが悪くなった。終いにはらしくもない静寂を返してくるから、訝しげに目を細める。


「ケンちゃん?」


『……ありがとうね』



すると、漸くぽそりと落とされたのは、恥じらうような声。


『昨日ね、施設に行ったの』


改まったその電話の向こう側で、ケンちゃんが頬を染めているような気がした。