焦がれる吐息





一つ、深い息を吐いた。

綺麗に片付けられた彼の部屋だった空間に、もう幾度となく重ねている溜め息がまた積もる。

そう言えば、いつの日だったか、尾崎に溜め息を吐きすぎだと怒られたことがあった。

思えば私は、彼と出会ってから溜め息ばかりついていたような気もする。


「(……だから、考えないってば…)」


重い瞼を休めるように落とす。

けれど直ぐに、それを邪魔をするかのように着信音が鳴り響いた。








『ぐうっっもおーにいーんぐっ!!!」

「……」

『あらあらあら?お姫様はまーだメソメソしてるのかしら??』

「……うっさい」

『紫月くんが作り置きしていってくれたおかず、ちゃんと食べた?』

「切るよ」

『あーん!まって!ごめんってば〜!今のスミちゃんにはNGワードだったわよね〜うほほっ』

「………」


……出なきゃ良かった。スマホが壊れてしまいそうなほど謎にテンションの高いケンちゃんの声を耳に、たった今電話に出たことをすぐに後悔する。