焦がれる吐息




𓂃𓈒𓏸


淡々と味気のないガムを噛み続ける。

柔い香りが染み付いたビーズクッションに沈み、真昼間の天井を仰ぐ。

傍らのプロジェクターはON、でも。



「(……星、ない…)」



それはそうだ。馬鹿だ。当たり前だ。

陽光に照らされた空間では、あの日の美しい星空は作れないのに。

しかし、いざ日が暮れてからこのスイッチを押そうと思っても出来なかった。何度試みても、その指先は震え、鼻の奥が熱く痛んで、そのうちに気づいたら頬が濡れているのだ。


まだ夜空が怖いからか、将又、また彼と一緒に見たいからか。

多分、どっちでもあって、後者の気持ちのほうが大きい。


その証拠に、玄関の解錠音を待っている自分がいる。

眠りにつく前、リビングのスタンドライトを消せない自分がいるから。新作の薬用ハンドクリームを買ってしまったし、コンビニで煙草を必死に見ないようにしてしまう。



ほんと、馬鹿だ。

突き放したのは自分なのに。

会わないって決めたのは、自分なのに。

意思に反して彼を求めている自分がいて、そんな自身に嫌気がさす。