焦がれる吐息





誰よりも強くて、誰よりも不器用で。

そして、恐ろしく優しい子なの。

もうこれから一生傷ついてほしくない。

これからの人生、振り返るたびにずっと幸せだと思える毎日を生きていてほしい。

だから、ただの“好き”なら、渡せない。

生温い恋愛感情なら渡さないわよ、絶対。



強い願いと想いを込めて、鋭い瞳を向ける。

それでも、青い瞳は一つも揺るがなかった。




「好きです」


迷わず言葉にした紫月くんは、ゆったりと柔く目を細め。そしてもう一度、強調するように繰り返した。



「感情を失いたくなるほどに、好きです」



穏やかでいて、悲痛、そんな二文字が滲んでくるような声が静かに響いた。


紫月くんは言葉にしてすぐ、美しい桜唇を引き結ぶようにして微かに弓なりに。

どことなく、遣る瀬無い表情を浮かべる。

青の瞳が、彼女に強く焦がれているように切なげに振れる。

出会った当初は、まるで感情を知らないような子だったのに。

本気、なんて簡単な言葉では片付けられないほどに苦しげな感情が伝わってくる。

スミちゃんと話していた時と同じように、まるで彼の痛みが伝染するかのように切なさが込み上げてくる。



「(……ふたりして、もう何なのよ〜…)」


不本意に鷲掴みにされた胸の痛みを和らげるように溜め息を吐いて、早くも降参だと、磨かれた美青年に柔く笑いかけた。







———ねえ、スミちゃん。

この先、完全に傷が癒えることがなくてもね、もう大丈夫よ。真摯な愛が、貴女の心をやさしく何度も撫でてくれるから。

だからどうかこれから、愛することを、愛されることを、怖がらないでね。