焦がれる吐息






𓂃◌𓈒𓐍


通話時間、8分、嵐のような時間だった。

スマホからチラリと見遣る鏡の中の自分は、朝よりも随分と顔色が悪い。


はあ、と憂鬱をのせた溜め息を吐いた。


ドアから背を離した私は、静かにノブに手を掛ける。

慎重にほんの数センチだけ開けて覗き見た先、彼を瞳に映した瞬間、どうしても大袈裟に鼓動が反応してしまう。

……適当に座ってって、言ったけど……

彼は、最後に見た位置から少しも変わらない場所、リビング入ってすぐのフローリングに静かに正座していた。

そんなところでずっと正座を…?と内心驚きながら、このまま待たせておくわけにもいかない、と。


意を決してドアから顔を出せば、私に気づいた彼とすぐに目が合う。

彼の瞳は、角度や光の加減で色が変わって見えるようだ。少し離れた距離だと、透明な碧色に見えた。


不思議な美しさに、きっといつまでも心臓が慣れることはないかもしれない。さっきから鼓動がうるさいのを嫌でも感じる。


そのまま部屋に引っ込みたくなるところを踏ん張って、恐る恐る一歩でた。


「……お待たせしました」


彼から少し離れたところで、おずおずと私も正座してみる。


床を見つめながら次の言葉を探していれば「あの、」と先に彼が口を開いた。