焦がれる吐息






「おれ、スミちゃんに言われて、かっこいい大人になりたくて…だから“いろんな普通”ってやつ、すきになりたいと思って……」

「……」

「ずっと言えなかったけど……ありがと…」

「!」

「今までわるぐち言って…ごめん、なさい」

「っ…う、うゔっ…!」


“みんなのヒーロー ケンちゃん!”そう書かれた文字も、子供達が書いてくれたきっと自分の似顔絵も、廊下に差し込む眩い光と涙で、きらきらぼやぼや滲んで、輝いて、うまく読めなくなった。


スミちゃんの為に人肌脱ごうとやって来たのに。


「うゔゔええーん!突然何がなんだか分からないけどあんた達かわいいすぎじゃないのお〜」

「お、おいゴリラ!抱きつくなよ!うぜ〜!」

「ケンちゃんぼくもぎゅうして〜」

「がわいい〜子供ってなんてがわいいの〜もうなにどういうごと〜」


なにこのサプライズ?子供が苦手で面倒臭がり屋なあのスミちゃんが施設に来ていたの…?

ずっと待ち望んでいた夢のような現実に、ずびずび鼻水を垂らし泣きながら子供達をこれでもかと抱き締める。

はてなマークを大きく掲げながらも、幸せを噛み締める。



「———澄香さん、ずっと頑張ってましたよ」



その時、徐に。

艶やかな声がとても優しげに響いた。



「そんな彼女を見て、俺は好きになったんです」