焦がれる吐息





いつも子供達の可愛い顔を歪めてしまうばかりだったのに、目の前の可愛いぷくぷくの頬はふにゃーと蕩ける。


「あれえ?ケンちゃん?」

「へ?」

「ケンちゃんだあー!」


そして、ガバッと足元に抱き着く小さな身体。

一体なにが起きているのかと硬直していれば、男の子は穢れのない瞳に真っ直ぐと自分のことを映して。


「いつもありがとう!」

「い、いつも???」

「プレゼント!ケンちゃんからだよ〜っていつもスミちゃんがくれる〜」

「え…?」

「ケンちゃんやさしいんだよってスミちゃんいつもいってるよ!だからね、ぼくもケンちゃん、だーいすき〜」


自分へと、迷わず小さな手が伸びてきた。

今までどんなに望んでも、どれほどお金を持っていても一生手に入れられないと思っていた温もりが触れる。

ずっと焦がれていた子供の手が、ゴツくて醜くて嫌いだった自身の“男”の手をぎゅうっと握り締める。

その瞬間、理解するよりも先に喉奥が痛く熱く締め付けられて、今まで埋めようにも埋められなかった心の穴がじわっと温かさで覆われた。



「あ、やっときたな!ゴリラ!」

「ご、ごりら?」


言いようのない熱い感情が込み上げてきたとき、お次は威勢の良い少年が登場した。

眉間に皺を寄せ険しい表情を浮かべながらも、ドスドスと床を鳴らして一直線にこちらに向かってくる。