焦がれる吐息






「宍戸からの封筒、やっぱりスミちゃん宛だったのね?」

「……」

「本当にごめんなさい、完全に盲点だったわ。他に嫌な事された?」

「……」

返ってくるのは只管に無言のみで、心が烈しく痛む。

無理矢理にでも、もっと早く帰ってくるべきだった。

簡単にできなかったのは、不可思議なほど仕事を詰め込まれ抜け出そうにも抜け出せない状況だったからだ。

今なら分かる、あのクソ眼鏡の仕業だ。

一体いつから計画していたのか。スミちゃんに近づく為に、わざとアタシを過密スケジュールにしていたのね。

普段から宍戸に業務の隅から隅まで任せているのが仇になってしまった。

まさかあの仕事人間がスミちゃんを狙っていたなんて……愚かな自分にズーンと肩を落としながら、殻に閉じこもってしまった彼女の頭を撫で続ける。


「……紫月くんには?何かされてない?」

「されてない」


すると突然、宍戸の問いと打って変わって、シーツの中から噛み付くように返ってきた。

スミちゃんはスンと鼻を啜ったような音を鳴らしながら「百瀬くんは、何も悪いことしてないから」と弱々しい鼻声で、でもはっきりと言添える。

そんな彼女にきゅーんと急激に胸が熱くなる。


だってあの死ぬほど男嫌いだったスミちゃんが、ぐすぐすしながら紫月くんを庇っているのだ。