焦がれる吐息






———「今度、全部ちゃんと話します」


電話にて、超絶美青年から真剣に告げられたのが、スミちゃんとの電話を突然切られてすぐの事。


———「来週、百瀬紫月を雑誌の撮影に参加させます。その後はイギリスで開催されるファッションショーへ。異論は受け付けておりません」

メールにて、冷徹な部下から突拍子もない決定事項が送られてきたのが一週間前の事。

そして、いとしの大切なスミちゃんは音信不通な現在。


「もお〜どこに行ったのよ〜!!」


ガラガラとキャリーケースを乱暴に転がしながら全力で走る。

出張先からやっと帰ってこれたその足で急いで彼女の部屋に向かったのに、そこは眠ったように静まり返り、いとしい姿はなく。

もしかして、と慌てて自宅に帰ってきた。

自分が描いたシナリオは大誤算だらけ。緊急事態なことが起きている事は確かだけれど、いまは兎に角あの子の無事な姿を……

ばん!っと慌ただしく玄関を開けた先、つま先にファーがついた可愛いパンプスが目について安堵と一緒に肩の力が抜ける。

迷わず寝室に向かって、自分のベッドの上にできたシーツの山に「やっぱり」と力無い笑みを零した。


「ただいま、スミちゃん」

「……」

「ごめんね、遅くなって」


もぞ、とシーツの山は動くけど出てきてくれる気配がない。

シーツを被る小さな頭らしき膨らみを大切に撫でた。