焦がれる吐息






瞬間的にぐわっと湧き上がる涙は瞼を焼くほどに熱く、それが頬をつたう前にきつく目を閉じる。


木枯らしが揺らす濡れた睫毛はやけに冷たくて、ひたすらに胸が痛かった。


たくさん心配かけたんだろうなって。

本当に会いたいって思ってくれてたんだろうなって。

百瀬くんらしくない痛いくらいの腕の中で、彼の全身から想いがひしひしと伝わってくる。

その、苦しい抱擁も。

包み込まれるマウンテンパーカーの冷え切った感覚も。

相変わらず柔らかな彼の香りも。


うれしくて、愛おしくて。

たまらなく大切で、でも、だから、


“澄香さんも未来ある若者の将来を不自由にさせたくないですよね?”


トンと彼の胸を押し返して、深く俯く。

初めて彼を拒むように突っぱねた腕は震え、広い胸元についた手のひらを痛いくらいに丸める。


「澄香さん、」

「ごめ、なさい…」


大好きな声を遮る痛みに、胸に突き刺さる宍戸さんの言葉の重みに、涙を落としてしまいそうでこれでもかと瞼を結ぶ。

それでも閉じ合わせた睫毛の隙間に涙が満ちてゆくのを感じて、引きむすんだ唇を震わせながら必死に堪えた。


「……顔、あげてくれませんか」


掠れた声に、ふるふると首を振る。


「お願いです、こっち見て」


切なげに懇願する言葉に、ひたすらに首を振る。



彼の瞳を見るのが怖い。

きっと、みっともなく求めてしまう。

うまく息ができない。

きっと、呼吸とともに愛を吐いてしまう。