焦がれる吐息






あいつもあいつで、女に握手を求められただけで死にそうになっていたのに、よくも女神様と同棲なんか……。


はあーっと長い嘆息を吐いて見遣る窓の外、鬱陶しい光が溢れる駅前を忙しなく行き交う人々。

その中で、ふと一つのシルエットが目に留まる。


駅前広場に堂々と聳え立つモニュメント。

待ち合わせのシンボルとなっているそのオブジェの片隅に背を預け寄り掛かるのは、離れていても分かる、一般人離れした美しい人体比率の男だった。

黒色のパーカー、パンツ、黒いキャップを目深に被り俯くその人間だけ、同じように待ち合わせしている多くの人の中で異様に際立ち、隠しきれない異彩を放つ。


僅かに覗く金色の髪が、夜の街に鮮やかに映えて見えた。



「副社長、遅くなって申し訳ございません!たった今、百瀬紫月の連絡先を入手したので、」


「いや、その必要はなくなった」