「てかてか、もう先輩から告白しちゃえばいいんじゃないですか?さっきの感じ、女の私の胸にも、ぐおおっ!てきましたよ?」
珈琲店が入っているビルから出ても、隣りを歩く尾崎はぽってり桃色の唇を忙しなく動かす。
「好きって言いたくなっちゃいません?わたし我慢できなくていつも直ぐ言っちゃいます!」
そして、ふへへ、と笑いながら腕を組んでくる尾崎の方こそ可愛くて胸にグッときた。
———もし、私が待てなくなって、好きを零してしまったら。
「(……百瀬くんも、グッときてくれるかな)」
無意識のうちにぽわっと心が浮ついて、そんな自分が瞬時に恥ずかしくなって唇を引き結んで歩く。
と、彼が迎えに来てくれる予定の駅に向かってる途中。唐突に「あ!」と大きな声を張る尾崎に引っ張られた。
「この店可愛くないですか?あ、雑貨屋さんかな?少し寄っていきません?」
一緒になって駆け寄った先、質素なビルの半地下にお洒落な窓があった。
そこから見える店内には、キッチンでよく使うアイテムが数多くレイアウトされている。
前までは料理なんて興味がなかったから素通りしていたけれど、今はその穏やかな光が溢れる店内につい釘付けになってしまう。
真っ白なシャツ、黒スキニー、洗練されたシンプルなスタイルで今朝キッチンに並んでいた彼が重なって。
胸が高鳴ってしまった私は、こくこくと頷いた。
百瀬くんにぴったりなお店だ。



