百瀬くんが温めてくれた心は大切にしたい。
折角、生まれてはじめて自覚できた想いに、どうせならかわいく向き合ってみたい。
なんて、柄にもない事を思ってしまっている。
「ゔゔ、恋する素直なスミ先輩かわいいうつくしい〜ううう〜〜」
「……さっきからほんと恥ずかしいからやめて」
「てかあの殿方も、明らか先輩しか眼中になかったですよね?!まだ付き合ってないってことは両片想い的な?いいなあ、今一番たのしい時期じゃないですか?スミ先輩とドキドキライフ過ごせるなんて超妬けるんですけどお」
尾崎はツラツラ勝手に喋って勝手に不貞腐れて、尖らせた唇で同じくキャラメルマキアートを飲む。
その様子を眺めながら、首を傾げた。
「……両片想い…て、なに…?」
初めましての単語に、思わず眉が下がる。
恋愛偏差値は小学生止まり。
いや、下手したら幼児のケイトの方が高いかもしれない。
友達が恋愛の話を始めても自然と聞き流していたし、自分に振られたら上手く逃げていた。少女漫画も恋愛ドラマも、どうせ冷めた目でしか見れないから避けていたし……。
「え、スミ先輩って、もしかして」
「(あ、まずい)」
目の前のくりくりの瞳は、みるみる大きくなっていく。それに比例して頬が熱くなっていく。
22歳にもなって恋愛知識も経験の一つもないだなんて恥ずかしい事……?そう襲ってくる羞恥に睫毛を伏せたとき。
「くう〜その有り余る色気を装備してるのにまさかのうぶ?なにそのギャップ反則じゃないですか?これからあの美青年にスミ先輩が育てられるのかあ〜憎い〜!!」
尾崎はやっぱり尾崎で。馬鹿になんかしないで意味不明な事をまた嘆きはじめるから、つい吹き出すような笑みが零れる。



