焦がれる吐息





そのうちに微睡むような静けさが訪れる。

もう、自身の騒がしい鼓動しか聞こえなかった。

こっそり視線を上げれば彼はまた目蓋を落としている。

「百瀬くん」と呼んでみても応答なし。

そういえば昨夜ワインを飲みながら、昨日今日と二連休だと言っていたのを思い出す。

いつも深夜遅くまで頑張っているから、まあ、今日だけはとくべつに許してあげよう……なんて、自分にも言い聞かせるようにして彼の胸元に大人しく埋まる。

かと言って、こんな状況で私は二度寝なんてできなかった。


「……百瀬くん」


念のため、また寝たふりをしていないか確認するように小さく呼んでみる。やっぱり返ってくるのは穏やかな静寂のみだった。

大丈夫、今度こそ本当に眠っているみたいだ。

今のうちに…と、いつも可愛くない唇を秘めやかに解いて。


「……昨日、凄く嬉しかった」


昨夜はいっぱいいっぱいで伝えられなかった想いを小さく零す。



「百瀬くんのおかげで、夜が少しだけ好きになったかも」


「本当にありがとう」


寝ている隙になんて私の方がよっぽど狡いかもしれないけれど、面と向かって改めて言うのはどうしても恥ずかしかった。