突然、ぱっちりと目が覚めた。
私にしてはとても軽やかに、いつものように夢現なんてものは存在しなかった。目蓋を開けたときにはもう既に覚醒していた。
だって、恐ろしいほどに美しく艶やかな寝顔が私の瞳にドアップに映りこんでいる。
きっと30センチ物差しも入らない距離、朝の光に燦く色素の薄い睫毛が一本一本はっきりと見える距離に百瀬くんがいる。
自分の身体に長い腕がぎゅうと巻き付いている。
足にも、長い足が絡み付いている。
「(……何故、百瀬くんが…?)」
前にも似たような事があった。百瀬くんが看病してくれた日だ。でもその時の驚きの比ではない。
同じベットで彼に抱き締められて寝ているのだから。
星空をプレゼントしてもらって、私もサプライズ返しをして、お誕生日おめでとうって言って、百瀬くんと並んで食べる事に妙に緊張して、気を紛らわすようにぐびぐびワインを飲んで、百瀬くんがトイレに行って……。
「(……だめだ、曖昧だ)」
超重大事件に、パニックを通り越して最早頭の働きは冷静に復している。
出来る事なら、飛び起きてパニックになった方が楽だった。そう出来ない程に彼の腕はガッチリと私を包み込み、静かに見惚れていたくなるほどに気持ち良さそうに眠っている。



