焦がれる吐息





その瞬間、透かさずその手は引っ張られる。


金の髪が柔らかに頬を掠めて。


前のめりになった私の肩に、とん、と彼の頭が項垂れるようにのった。


「……全然、大人しくしてくれないじゃん」


私の肩に顔を埋めた彼は弱々しい声をぽつりと零して、繋いだ手をぎゅうと握り締める。



「何かに対して感情を抱いた事がないんです。今まで何かをしたいと欲が芽生えたこともない。だから、好きな事とか食べ物とか分かりません」



肩口に淡々と紡がれていく答えに、戸惑いの眉を寄せたとき。


百瀬くんはそっと顔を上げて、濡れた澄み渡る瞳に私を閉じ込める。



「でも、好きな人なら即答できます」



目を見開く私の頬に、やさしく包み込むようにしなやかな指先が触れて。熱を煽るように、親指の腹でゆったりと撫でられる。



「澄香さんにだけ、感情も欲もうまれるんです」



とくん、と胸が大きく弾む。