焦がれる吐息






生まれて初めて抱いた感情を、まだ零さないように、零れないように、彼のやさしい温もりと共に胸の中で大切に噛み締めていれば。



「……あーやばい、」


つい零れてしまったかのような、小さなちいさな呟き声が鼓膜を擽った。

かと思えば、彼の腕の力がぎゅーっと強くなる。

私が抱き締め返した事だろうか…、百瀬くんの全身から喜びのようなものが伝わってきて、つい私の口元も緩んでしまう。

照れ隠しをするように、思わず彼の胸にスリと顔を埋めた。


「、……ちょっと、流石に可愛すぎませんか」



すると今度は何故か弱ったように、こてん、と。

百瀬くんは私の頭に頬をのせ凭れてくる。


「……苦しい、です」

「全然足りないくらいです」

「……星、まだ見たいので、そろそろ…」

「これから幾らでも見れますから」


駄目だ。全然離してくれそうにない。

苦しい、けれど嬉しい、けれど恥ずかしい……。

百瀬くんの腕の中で瞼をきゅと閉じて熱に悶える。


どうしようか…そういえば今何時だろう。

百瀬くんも夜ご飯食べてないだろうし、

……夜ご飯………ん?夜ご飯?


そこで漸く、超重大任務の流れ星がぴゅんっと頭に飛び込んできてハッと顔をあげた。

きらきらの星空を背景に、きょとん、と目を丸くする百瀬くん。

思っていた以上に至近距離にあるその美しい顔に、一瞬気後れしてしまいそうになるけれど今はそれどころではない。


「澄香さん?」


不思議そうに睫毛を揺らす彼を上目で見つめ、気合を入れ直すように、ぐ、と眉を寄せた。




「10分、いや5分待っててください」

「え?」

「呼びにくるので、すみません…!」



危ない、忘れてしまうところだった。

このままでは完全にサプライズ負けだ。