そして、はっきりと、私へ紡ぐ。
「そのうち、ちゃんと伝えます、澄香さんに」
言う通り勘違いだと思えないほどに、甘い笑みをふわりと目元に浮かべて。
「だから俺のこと好きになって、待ってて」
百瀬くんは、星が溶け込んだような美しい髪を煌めかせた。
予想外の展開、不意打ちすぎて狼狽えて頭が全然追いつかない。まだほんのり濡れる睫毛を伏せることしかできない。
「……い、つも、急だし、勝手すぎます…」
そんな、苦し紛れいっぱいいっぱいの声しか振り絞れない。
すると彼は「すみません」と相変わらずの台詞を漏らしつつ、長い指先で涙の跡を擽ったいくらいに優しく辿った。
「でもほら、もう涙止まってる」
「、」
「澄香さんは俺の事だけ考えてればいいんです」
蠱惑的な声に身体が熱くなったときにはもう、後頭部に手が添えられ、ふわ、と抱き寄せられる。
また、やさしく大切に抱き締められる。
「(……もう、)」
心がぽかぽかどころではない、熱くてたまらない。
既に胸いっぱいに満ちる感情を一人では抱えきれなくなって。
この甘い息苦しさから助けを求めるように、恐る恐る、ゆっくり、広い背中にはじめて腕をまわした。
「(……もう、とっくに好きですけど)」
きゅ、と小さく力を込めて抱き締め返してみれば思った以上に百瀬くんは逞しくて、恥ずかしくて。
でも、温かな涙が零れそうなくらいに愛おしかった。



