焦がれる吐息





ぽかぽかと、冷めていた心が温もりを取り戻していく。


どうしてこの人はこんなにも優しいのだろう。



すん、と涙を啜れば、酷く安心する柔らかな香りが鼻について。先程とは全然違う、きゅんとした胸の痛みにやさしく襲われる。


“俺を、男として見てください”

“男として、興味もって”


私よりもずっと広い胸、逞しい腕、包み込んでくれる大きな温もり、そして甘く囁いてくれる低い声も、胸が高鳴るくらいに百瀬くんは男だとちゃんと感じている。

けれど、やっぱり怖くない。

あの男を思い出しても、彼に触れられている事が嫌じゃない。

寧ろ嬉しいって、心が震えてしまってる。


でも寄り掛かり方なんて知らなくて。

甘やかされる自分も、慣れなくて。


「……そんな風に言われたら、流石に、勘違いしちゃいます」


湿った空気を有耶無耶にするように、彼の腕の中で、もぞもぞと可愛げもない声を出してしまう。

冗談のつもりだった。

いつものように「すみません」って曖昧に笑って返されて、「もう」って怒って、おしまい。

そして、もう一度ゆっくり百瀬くんの星空を眺めようと思った。


なのに、


「勘違いじゃないですよ、」


柔らかな声と共に、そっと身体が離される。

私の肩に手を添え顔を覗き込んできた百瀬くんは、揺るぎのない澄み渡る瞳を私に真っ直ぐに捧げる。



「当たってます」