焦がれる吐息





その日を境に、月に数回、自分の写真と“かわいい”が薄ピンクの封筒に入れられて届くようになった。

犯人は誰かすぐに分かった。

でも、それでもケンちゃんにも誰にも相談できなかった。

母親の好きな人だったから。

ただ、それだけで。

母親に見つからないように、鼻を啜りながらゴミ袋に捨てるのが習慣になった。

後ろをつけられているんじゃないかと、外を歩くとき振り向くのが癖になった。

大丈夫、冷静に、落ち着いて———自分を宥めるおまじないができた。

太るのが嫌になって、ご飯も碌に食べず運動を沢山するようになった。

男の子から見られることが、褒められることが、どんどん怖くなっていった。

“かわいい かわいい 本当にかわいい”

悪魔の呪文のように、脳内を蝕む軽薄な声に全身に鳥肌を感じ、空っぽの胃から酸が迫り上がり、ぐっしょり汗をかきながらも、ただ一人で、羽柴のストーカーのような行為に震え続けていた。


大丈夫、封筒を送ってくるだけ、私が我慢すれば大丈夫。

酔っ払った母親が幸せそうにする話を、無になって聞き続けた。


「……スミちゃん、絶対何かあったでしょ?」

「別に?」


そうやって長い間耐え続けていれば、感情が麻痺していって、強がることを覚えて、取り繕う事が当たり前になっていった。