焦がれる吐息






いつかは禁煙しなければと、心のどこかでずっと思っていた。何度か挑戦した事もある。

でもいざ禁煙しようと思っても、20歳から本格的に吸い始めて数年、ずっとニコチン漬けだった身体はそう簡単にはいかなかった。挫折するたびに、あーもう一生煙草はやめられないんだろうな、と諦めていた。


今回の禁煙は、上手くいくだろうか。煙草もライターも百瀬くんに没収されてしまった。

そんな今日で、禁煙三日目。

毎回、一日二日はガムや飴で何とかなる。

でも、いつも三日目が難関だった。

ついつい通りすがりのコンビニに駆け寄って、ついつい買ってしまうのが魔の三日目。

今のところ……


『何度でも、俺が紛らわせますから』

『、』

もし少しでも澄香さんから煙草の匂いがしたら、その時は覚悟してください』

『……覚悟…?…それは、どんな…?』

『一緒に、綺麗に洗い流すとか?』

『……いっしょに、あらい、ながす…?』

『嫌だったら、吸っちゃ駄目ですよ』



「たいへんだ!!スミちゃん、おねつ!!」



ケイトはきゅ、と眉間を寄せ真剣な顔で私のほっぺをぺたぺた触る。その小さな身体に、思わず縋るようにむぎゅうと抱き着いた。

そして、もう何度目か分からない深い溜め息を吐く。


……今のところ、百瀬くんがあの夜に残した言動の威力が凄すぎて今朝もコンビニで煙草を買わずにガム一つ購入で済んだ。

もし吸ってしまったらこの身に何が起こるのだろうという、恐ろしく妖しい熱に脅されているようで。彼の言う通り、見事に彼で気が紛らわされている。