焦がれる吐息





「先生すみません。ガム噛んでて、」


ちょっと待ってね、とスキニーのポケットから紙を取り出そうとすれば、ケイトの愛らしい睫毛がぱちぱち忙しなく瞬く。

かと思えば、ぷくぷくのほっぺを持ち上げてにぱあっと笑みを咲かせた。


「今日のスミちゃん、しーちゃんみたい!!」

「?」

「しーちゃんもね、さいきんずうっとガムかんでるの!!」


元気に教えてくれるケイトに、今度は私の睫毛がぱちぱちと瞬く。ガムを捨てながら、「(しーちゃんって食堂の人だっけ)」と以前の会話を思い出す。

すると、ケイトはしゃがみ込んで膝に両頬杖をついた。


そして、


「きんえんっていうのしてるんだって〜」


るんるんと効果音がつきそうな無邪気な上目、小さな唇はまるで誇らしげにふふんと綻ぶ。


「……きんえん?」


“ 禁煙しませんか、一緒に”


夜風に靡く、金の髪。

私が口をつけた煙草を咥えながら、蠱惑的な笑みをつくる美しい唇。それが、瞼に触れるやさしい感覚。

背筋が甘く疼くような、真摯な熱を孕む青い瞳。


刹那的に蘇る非現実的な時間が、ぶわっと全身の熱を上げる。