焦がれる吐息








𓂃◌𓈒𓐍

ぐでーん、と寄りかかるかわいい重みを感じつつ。目の前の淡いピンク色のビオラが、ぴょこぴょこと秋風にそよぐのをぼんやり眺め続ける。


最後に見た時から植え替えたのか、花壇には冬の花が綺麗に咲き誇っていた。

そんなに日にちは経っていないはずなのに、施設の穏やかな空気が随分と久しぶりのように感じる。


そんな只今、幼児組とかくれんぼ中。

ケイトと二人で園庭のすみっこに隠れていた。

不意に、ひょっこり、ビー玉のような大きな瞳が覗き込んでくる。目があった瞬間、その上の垂れ眉は更にフニャと八の字に下がった。


「スミちゃんげんきないねえ〜?」

「……そんな事ないよ?」

「でもずうっとぼーっとしてる!おねつかな?」


花壇に並んで座っていたケイトは、そう言って前に立つと小さな手のひらを私の額にぴたっとのせる。温かいそれに、ずっと曇っていた表情が自然と綻ぶ。


「んー、おねつはないですねえー」

「ふふ、お医者さんみたいだね」

「せんせいってよんで?じゃあ、お口あーんしてくださあい」


黒い瞳をきらきら輝かせてお医者さんごっこをはじめるケイトに、口を開けようとしてすぐに止まった。