『触れるのも躊躇うくらい、すべてが綺麗な人なんです』
『———だから単純に、見合う男になりたい』
ふと、きらきらとした揺るぎのない言葉が蘇る。
それに、心臓辺りがきくんと痛む。
そうだ、百瀬くんは“欲しい人”の為にこのテレビの中の世界に飛び込もうとしている。
もしかしたら、その人の為に、この俳優のような男になろうとしてるのかもしれない。
だとしたら、羨ましい。
既に何不自由なさそうな俳優の恋人になるよりも、百瀬くんにそこまで想われるその人が、羨ましい。
なんて、馬鹿な事を思ってしまう。
《堕ちない女性はいないんじゃないですか〜?》
《いやいや、そんな事ないですよ!》
《またまた〜絶対に女性の皆さんだったら一度は抱かれてみたい〜なんて思ってますよ!?》
テレビから流れてくるのは私以上に馬鹿げた声だった。
それに呆れながら、手持ち無沙汰に隣に置いていたうさぎのぬいぐるみを膝にのせる。
以前、勝手に模様替えされた時に置かれていたものだった。他は全部片付けたけれど、このうさぎだけは何となく段ボールに詰められなかった。
「……確かに、この人みたいに成功してる芸能人って何でももってそうですよね」
彼に倣ってぼんやり画面を見つめながら、そのうさぎの頭に頬杖をつく。
「だからって誰にとっても魅力的かと言われると、私はそうではないと答えてしまいます」



