驚き後ろを見上げようとして、慌てて止めた。
視界の端、振り向いたら触れてしまいそうなほど直ぐそばに、きめ細やかな白い肌、微かに口角の上がった優しげな唇が映る。
『あれスミちゃん?何かあっ…———』
「、」
咄嗟に通話を切って、胸の前でスマホを握り締める。
すると密着した背中に、ぐい、と更に迫るような重み。
百瀬くんは前のめりに手を動かした。
「どれですか?」
至近距離で感じる彼の声に、ぽっと頬が瞬間沸騰する。
「……こー、ん……」
「ん?」
「……味噌、コーン…おっきいの、です」
恥ずかしさに染まる耳に、一瞬、吐息のような艶やかな笑声が微かに触れる。
思わず肩を窄める私。
それを気にも留めないで、しなやかな指先は静かに目的のものへと伸びた。
「どうぞ」
骨張った手の甲は、いつもよりも一段と赤く痛そう。
きゅうっと心臓が掴み絞られながら、「どうも」と精一杯の声でその手からカップ麺を受け取る。
けれど、彼の手は離れない。
百瀬くんは、静止したまま一向にカップ麺を離す気がない。
どうしたんですか、と、声を掛けようとして。
「……3分だけ、いいですよね?」
とん、と私の顳顬に冷たい頬が寄り添う。
一緒にカップ麺を持ったまま、百瀬くんは後ろから凭れかかってきた。



