焦がれる吐息




鼓動の音も分からないほどに、彼の声だけが全身に響く。


いつものように「どういう意味ですか」と聞いたら「何でもないです」と答えるだろうか。

……そう、答えてほしい。でないと、今度は彼の熱で倒れてしまいそうだった。



「百瀬くん、」

「どういう意味か、知りたいですか?」


伺うように見上げようとすれば、それを阻むように不意をつかれる。後頭部に長い手のひらが丁寧に添えられ、更に強く引き寄せられた。



「欲しくてたまらないものが、もっと欲しくなったってことです」



昨日覚えたばかりの温もりは、昨日よりも熱い。

抵抗する気も起きないほどの優しい抱擁は、自分が彼の大切な宝物にでもなったのかと馬鹿な錯覚を起こしてしまう。



「今はこれで我慢します。だから、暫くこのままでいいですか」


妙に落ち着いた言葉は余裕があるようで、感情を必死に抑えているようにも聞こえた。私を閉じ籠める腕が、微かに震えているのが分かったからだ。


構えた指先は無意識に彼の腰をぎゅと握り締め、返事の代わりにただ睫毛をしならせる。

座った私と、立ったままの百瀬くん。

彼の細くも逞しい腹部に埋まって、慣れない男の子要素に一度気づいてしまえば更に酸素が薄くなる。