焦がれる吐息





ぐわりと、身体の芯が熱く燃える。

待ち焦がれていた手が、じんわり滲む。

人は、嬉しさや愛おしさが胸に収まりきらなくなると代わりに涙となって出てこようとするらしい。



「……さっさとしてください」


こっちの気も知らずに容赦なく煽ってくる彼女に、気を落ち着けるように細い息を吐いた。

座ったまま、ゆっくりと手を伸ばす。

彼女の指先を宝物のように掬い上げ握る。

真っ白な手の甲を親指の腹で滑らかに撫でれば、華奢な肩がぴくりと強張った。


振り向く気配がないから、柔く引っ張ってみる。すると、嫌そうに、でも振り向いてくれる澄香さん。眉間に皺を刻むその顔は真っ赤に染まっていて、思わず、ふ、と笑みが溢れた。



「澄香さん」

「…何ですか?」



ほんと、好きです。


出かけたその言葉を寸前で呑み込んで、


「ありがとうございます」


沢山の意を込めて言葉を振り絞った。


心は陽だまりのように温かいのに、ずっと鷲掴みにされているように息苦しい。


彼女は不思議そうに幾つか瞬きを繰り返してから「……てか、いつまで座ってるんですか」と、照れ臭そうにやっぱりそっぽを向いてしまう。


それにまた笑みを溢しながら漸く腰を上げて、彼女の隣に並び立った。しなやかな指に自身の指を絡め、透かさず、ぎゅ、と包み込んで手を繋ぐ。

再び繋いだ彼女の手は、怖いくらいに温かった。




「……な、んですか、この繋ぎ方…」

「恋人繋ぎっていうらしいです」

「こ、…?!」

「(はやく恋人になってください)」




家路につく間、願いを込めながらその繋ぎを固く解かなかった。