だれ、なんて聞かなくてもすぐに分かった。
噂の美青年、だ。ほんとうに美しいって言葉がぴったり当て嵌まるから。
でも、聞いていたのと少し違う。
これのどこが原石なのか、全然、原石なんかじゃない。
私の瞳には、彼がもうすでに丁寧に磨かれた宝石のように燦然とキラキラ輝いているように映った。
透き通るような自然な金色の髪。目の際ぎりぎりの前髪、短い襟足、全体的に丸みのあるマッシュヘアは、無造作なパーマがかかっていてふわふわとお洒落で柔和な印象。
真っ白な肌も、薄いくちびるも、ツンと高い鼻も、すこし垂れ目がちな目元も、非の打ち所がなかった。
どこかミステリアスに感じる瞳に時を奪われながら、頭の片隅のほうでドクドクと、焦るような脈打つ鼓動が聞こえる。
彼も目を見開きひとつも動かないまま、どのくらい見つめ合ったのか。ものすごく長い時間のように感じた。
カチャン———と、隣の住人の方のドアの音がして、漸く二人の時間がはっと動きだす。
「……な、んで、鍵…」
「……ケ、ンジさんという人から、今日からここに住め、と…」
「………」
「………」
絶望的にまっしろな頭の中、ぽわん、とひとつ浮かび上がってきたのは、
『荒療治よ、ふふっ』
ウィンクをかます、お節介なケンちゃんだった。



