(…………。ヤバいやつだ!!)
奇妙キテレツな存在に、思わず足が止まってしまった。周りを見れば他の人たちも、異常なものを見る目で彼女を見ている。スマホで写真や動画を撮る人もいた。
関わってはいけない、すぐに立ち去ろう。そう思ったのに、何気なく最後に一目見てしまったのがいけなかった。はた、と回るのをやめた彼女と目が合ってしまったのだ。
丸い大きな瞳が僕を見つめる。下手に動いたら何をされるかわからないという緊張感に口元が引き攣る。
蛇に睨まれたカエル状態の僕をからかうかのように、彼女は真っ直ぐ僕を見たまま微笑んだ。その瞬間、マズイと思った僕は脱兎の如く校舎の中へと逃げたのだった。
「はよー、悠人ぉ。1講目から薬学概論とかダルいよなぁ。」
開講直前、環は眠そうにあくびをしながら僕の隣にどっかりと座る。僕は今朝の出来事で取り乱した心に平穏を取り戻すため、テキストを小声で音読するのに忙しく環の言葉を無視した。けれどもやっぱり、環はそんなの気にもしない。次の瞬間には興奮気味に僕にスマホの画面を見せてきた。
「てかさ、聞いた?|《雪女》の噂。」
「僕は関係ないからな!?」
画面に写っていた今朝のキテレツ女に、僕の声は裏返る。大声を上げたと同時にテキストを机に叩きつけたのも合間って、しんと周りが静まり返った。
奇妙キテレツな存在に、思わず足が止まってしまった。周りを見れば他の人たちも、異常なものを見る目で彼女を見ている。スマホで写真や動画を撮る人もいた。
関わってはいけない、すぐに立ち去ろう。そう思ったのに、何気なく最後に一目見てしまったのがいけなかった。はた、と回るのをやめた彼女と目が合ってしまったのだ。
丸い大きな瞳が僕を見つめる。下手に動いたら何をされるかわからないという緊張感に口元が引き攣る。
蛇に睨まれたカエル状態の僕をからかうかのように、彼女は真っ直ぐ僕を見たまま微笑んだ。その瞬間、マズイと思った僕は脱兎の如く校舎の中へと逃げたのだった。
「はよー、悠人ぉ。1講目から薬学概論とかダルいよなぁ。」
開講直前、環は眠そうにあくびをしながら僕の隣にどっかりと座る。僕は今朝の出来事で取り乱した心に平穏を取り戻すため、テキストを小声で音読するのに忙しく環の言葉を無視した。けれどもやっぱり、環はそんなの気にもしない。次の瞬間には興奮気味に僕にスマホの画面を見せてきた。
「てかさ、聞いた?|《雪女》の噂。」
「僕は関係ないからな!?」
画面に写っていた今朝のキテレツ女に、僕の声は裏返る。大声を上げたと同時にテキストを机に叩きつけたのも合間って、しんと周りが静まり返った。



