積もってもたった1日2日で消える。雪かきする必要もない。
なんて住みやすいところなんだ。本当に来てよかった。


通学中の小学生が、歩道の植木に積もった雪をかき集めて投げ合い、戯れている。僕にもそんな頃があった。その時は、雪が積もるたびにわくわくしてたっけ。ぼんやりそんなことを思い出しながら、僕は大学の校門をくぐった。


舗装された道の雪はもう半分溶けかけてべしゃべしゃになっているが、道に沿って並ぶ葉が落ちてハゲたイチョウ並木が植っている芝生はまだ柔らかさが残っていそうな雪に覆われている。雪面も踏み荒らされることもなく、積もったまんまでまっさらだ。

僕が向かう校舎の正面から見て左隣には大学の附属病院があって、それとの間にはちょっとした広場がある。そこにはベンチが設置されており、晴れた日には誰かしらがそこで談笑しているのだが、こんな天気の日には誰もいるわけがない。




そう、思っていたのに。ふと顔を上げた先に飛び込んできた光景に、僕は目を疑った。




広場の中心、ど真ん中。

ふわり、風に膨らむ真っ白いケープと無垢な純白の丈の長いワンピース。

長く艶やかなウェーブがかった白金色の髪色は、滑らかな余韻を残して揺れる。

両手を広げて空を見上げ微笑む色白の少女が、くるくると無邪気に回って雪に小さな足跡を残していた。




……裸足で。