「積もり方はこの間の比じゃないよ。木の枝も屋根も、ゴツい車だって、雪がこんもり積もって丸っこく見えるんだ。
朝は雪掻きしないといけないからもう大変。防寒バッチリでいくんだけど、やってるうちに暑くなってくるからマフラーなんかその辺に放り投げちゃってさ。小さい頃は、掻いた雪で父さんが鎌倉とか、ソリを滑らせる小山を作ってくれてよく遊んだ。
歩道は除雪車が来ないから、自分たちでやるしかなくて…苦労して切り開いた道はボッコボコ。次の日には踏み締められてカチンコチンになってるから、滑らない様に気をつけて歩いたり。開店前の店の広い駐車場とか、誰も踏んでないまっさらな雪を見つけると嬉しくて、でたらめに足跡をつけて歩いたこともあったよ。
子供の頃は毎日の様に雪遊びして、最終的に手も足も霜焼けだらけでさ。…ユキのこと言えないね。」
なんで僕は大嫌いな雪を、まるでいいモノのように語っているんだろう?
僕らの手は涙の海。
ユキの口からは絶えず小さな嗚咽が漏れる。頷くたびに大きくなっていくように思えた。
ユキ。笑って。
そうか。
僕はつまらない僕の精一杯の言葉で、ユキを笑顔にしたいんだ。
朝は雪掻きしないといけないからもう大変。防寒バッチリでいくんだけど、やってるうちに暑くなってくるからマフラーなんかその辺に放り投げちゃってさ。小さい頃は、掻いた雪で父さんが鎌倉とか、ソリを滑らせる小山を作ってくれてよく遊んだ。
歩道は除雪車が来ないから、自分たちでやるしかなくて…苦労して切り開いた道はボッコボコ。次の日には踏み締められてカチンコチンになってるから、滑らない様に気をつけて歩いたり。開店前の店の広い駐車場とか、誰も踏んでないまっさらな雪を見つけると嬉しくて、でたらめに足跡をつけて歩いたこともあったよ。
子供の頃は毎日の様に雪遊びして、最終的に手も足も霜焼けだらけでさ。…ユキのこと言えないね。」
なんで僕は大嫌いな雪を、まるでいいモノのように語っているんだろう?
僕らの手は涙の海。
ユキの口からは絶えず小さな嗚咽が漏れる。頷くたびに大きくなっていくように思えた。
ユキ。笑って。
そうか。
僕はつまらない僕の精一杯の言葉で、ユキを笑顔にしたいんだ。



